のっかーのエンジニア日記

新人SEの日記です。

【読書録】イノベーション・オブ・ライフ (How Will You Measure Your Life?)

イノベーション・オブ・ライフを読んだので、読書録を残します。もしこれを読んでご興味を持った方は、ぜひ本文を読んで、直接この講義を味わっていただきたいと思います。この読書録には私の解釈が入ってしまっていますので。

序講

わたしはどうすれば次のことが確実にできるだろう?
・どうすれば幸せで成功するキャリアを歩めるだろう?
・どうすれば伴侶や家族、親族、親しい友人たちとの関係を、ゆるぎない幸せのよりどころにできるだろう?
・どうすれば誠実な人生を送り、罪人にならずにいられるだろう?

これら3つの質問について、それぞれ第1,2,3部で語られている構成でした。

「自分の人生を評価するものさしは何か?」という問いに、あなたがいつか自信をもって答えられるようになることを願ってやまない。

第1講 羽があるからと言って...

「飛行能力」と「羽があること」との間には、高い相関性がありますが、「羽があること」自体は「飛行能力」の直接の原因を説明することはできません。飛行能力の直接の原因は、揚力にあります。これと同様に、人生の幸せの原因を説明するには、理論が必要です。

この講で個人的に印象に残ったのは、下記のことばです。

簡単な解説策は、とてつもなく魅力的だ。大金を稼ぐための確実なステップであれ、幸せな結婚生活を送る四つの秘訣であれ、幸せな結婚生活を送る四つの秘訣であれ、効果があると信じたいのはやまやまだ。しかし世間一般に広まっている方法のほとんどは、せいぜいいくつかの事例を根拠にしているにすぎない。人生の難問に答えを出すには、「何が、何を引き起こすか」を深く理解することが欠かせない。本書で紹介する理論は、まさにそのためにある。

「○○の秘訣」というノウハウではなく、物事の背景にある理論こそが重要であるという主張が印象的でした。この主張は、以前読んだことのある「7つの習慣」に通ずるものだと思いました。7つの習慣には、下記のような言葉があります。

この人格主義では、「成功」といわれるような人生には、その裏付けとなる原理原則があり、その原則を体得し人格に取り入れる以外に、人が真の成功を達成し、永続的な幸福を手に入れる方法はないと教えています。

表面的な事象ではなく、背景の原理(理論)こそが重要であるという主張が共通していると思いました。

この講でもう一つ、個人的に印象に残ったのは、アメリカの電気炉製鋼メーカーであるニューコアが巨大な総合製鉄会社を破壊した事例です。完全に脱線ですが、この事例が日本にも当てはまるのか疑問に思い、簡単に調べてみました。

すると、日本で総合製鉄会社の経営が苦しいという内容の記事が多数見つかりました。
https://asahi.gakujo.ne.jp/research/industry_topics/detail/id=3028

しかし、その一番の原因は、日本国内の電気炉製鋼メーカーが急成長して総合製鉄会社を破壊したためではないように思われました。なぜなら、総合製鉄会社である日本製鉄グループの子会社として、電気炉製鋼メーカーが複数存在しているためです。すなわち、2021年現在は、日本国内で電気炉製鋼メーカーが総合製鉄会社を破壊しようとしている訳ではないと思われます。

むしろ最大の原因は、中国の鉄鋼メーカーによる過剰生産のようです。
https://the-owner.jp/archives/4133

以上、脱線でした。

第1部 幸せなキャリアを歩む

第2講 わたしたちを動かすもの

私たちを動かすものは、何なのか。この講では、それを説明する動機づけ理論(モチベーション理論)について説明されています。

動機づけ理論では、仕事の満足感は、衛生要因と動機づけ要因の2つの要因によって決まると説明しています。衛生要因は、少しでも欠ければ不満につながる要因です。一方で、動機づけ要因は、わたしたちを心から満足させる要因です。

衛生要因には、

  • ステータス
  • 報酬
  • 職の安定
  • 作業条件
  • 企業方針
  • 管理方法

などが含まれ、 動機づけ要因には、

  • やりがいのある仕事
  • 他者による評価
  • 責任
  • 自己成長

などが含まれると説明されています。

これを読んで、私は新約聖書の言葉を思い出しました。

何を食べようか、何を飲もうか、何を着ようかと言って、心配しなくてよいのです。これらのものはすべて、異邦人が切に求めているものです。あなたがたにこれらのものすべてが必要であることは、あなたがたの天の父が知っておられます。まず神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはすべて、それに加えて与えられます。

衛生要因は、欠けると非常に困るものであり、生きていく上で必要なものです。しかし、それを切に求めても、そこには真の満足はない、という意味かなと私は理解しました。むしろ、人の心のエンジンに点火させるような大切なものを見つけ、それに向けて自分を注ぎ出すことが大切なのかなと思いました。

第3講 計算と幸福のバランス

どのようにして衛生要因を満たしつつ、動機づけ要因も満たすキャリアを見つけることができるのか。この講では、創発的戦略と意図的戦略について説明されています。

創発的戦略は、予期されない機会に直面して修正される戦略であり、意図的戦略とは、予期された機会を追及して決定される戦略のことであると理解しました。

予期されない機会に対しては創発的戦略を使い、心を開いてその機会を受け入れる、という姿勢が大切なのだと感じました。一方で意図的戦略も等しく重要であり、静まって自分自身を見つめ直し戦略を主体的に立てる時間を確保することも大切なのだと思いました。

私は就職活動の時、自己分析をしていたのですが、その時点ではまだわからない・決められないことが多いなと思っていました。しかし、何はともあれ一旦、精一杯意図的戦略を立てて、その後で創発的戦略により進む方向を修正していけばよいのだと納得しました。

第2部 幸せな関係を築く

第5講 時を刻み続ける時計

家族や親しい人間と幸せな関係を築くために注意すべき点は何か。この講では、良い資本と悪い資本の理論について説明されています。

新規事業の初期段階では、良い資本を投資し、「成長は気長に、利益は性急に」求めることが大切だが、一旦利益が出せる有効な戦略が見つかったら、次は悪い資本を投資し、「成長は性急に、利益は気長に」求めていく姿勢が大切であると理解しました。

正直、この部分は難しくてあまり理解できませんでした。小さく始めて後でスケールさせるという原則のことを言っているのかなと思いました。

人間関係の投資については、

大切な人との関係に実りをもたらすには、それが必要となるずっと前から投資をするしか方法はないのだ。

と語られています。

人間関係の投資というのは繊細な気配りが必要であり、なおざりにしていると気づかないうちに壊れてしまうのだということが印象に残りました。

第6講 そのミルクシェイクは何のために雇ったのか?

人間関係を深めるために効果的な方法は何か。この講では、「片づけるべき用事」の理論について説明されています。

「片づけるべき用事」の理論について、その心が下記の言葉で説明されています。

どんな状況にも合う、唯一の正解など存在しない。まず顧客が片づけようとしている用事を理解することから始めよう。

この理論を人間関係に当てはめるとき、著者は「犠牲と献身」について語っていることが大変印象に残りました。

相手のために一方的に何かを犠牲にすれば、相手との関係を疎ましく感じるようになると思うかもしれない。だがわたしの経験から言うと、その逆だ。相手のために一方的に何かを犠牲にすることでこそ、相手への献身が一層深まるのだ。

個人的なことですが、あるコミュニティでの役割について、その役割を果たすために犠牲を払うことを「もったいない」と時々感じている自分がいました。しかし、そのコミュニティが自分にとって本当に大切なものならば、犠牲を払うことはただの重荷ではなく、より深い喜びへとつながりうる契機なのだと気づかされました。

第7講 子どもたちをテセウスの船に乗せる

子どもの能力をいかに育むべきか。この講では、能力の理論について説明されています。

端的に言うと、企業ができること、できないことを決定する要因、つまり能力は、「資源」「プロセス」「優先事項」の三つのいずれかにあてはまる。

三つの要因は、相互に重なりがなく、全体として漏れがないからだ。

正直に言うと、この部分が最も理解が難しい部分でした。「資源」は、人かモノを一般的に指すとのことでした。「プロセス」は、価値あるものを生み出す方法のことを指すとのことでした。「優先事項」は、意思決定に指針を与える要因とのことでした。

これら三つの要因が相互に重なりがなく、全体として漏れがないという部分についてその根拠が説明されておらず、本当にそうなのかいまいち納得できませんでした。今後、機会があったら検証してみたいなと思いました。

さて、著者はこの理論を子どもの能力に適用します。

端的に言えば資源は何かを行う手段、プロセスは方法、優先事項は動機にあたる。

この適用の仕方も、「手段」と「方法」が重複しそうで、納得しにくかったです。

ただ、子どもには、手間がかかるけれど困難に立ち向かう機会を備えてあげることが大切だということについては深く納得できました。

全く脱線ですが、この講で著者が幼い頃は家庭が豊かでなく、リーバイスのズボンが一人二本だけずつ与えられていたという話が印象的でした。個人的にはリーバイスは高級なイメージがあったのですが、アメリカではそうではないのかもしれないと思いました。もしくは、他のジーンズと比べて多少高価かもしれませんが、非常に丈夫なので長期的に見ると安く済むということだったのかもしれません。いずれにしても、良いモノを直しながら長く使い続けるというのは、愛着と自尊心を育む良いきっかけなのかもしれないと思わされました。私はどちらかというとこれまで、服は最低限の機能を備えていればよく、なるべくリーズナブルな方が良いと思っていました。しかし、服にまつわる愛着、自尊心なども含めると、そんなに単純に割り切れるものではないのかもしれないと感じました。

以上、またもや脱線でした。

第3部 罪人にならない

第10講 この一度だけ...

どのようにして破滅への道を避けるべきか。この講では、限界的思考について説明されています。

目先の収入を優先する結果、長期的には総費用を支払う羽目になると説明されています。

この講で個人的に印象に残ったのは、著者が神への誓いを守って大切なバスケットボールの試合への出場を断念したところです。この部分を読んで、その直前の著者の言葉が何倍にも心に深く響くようになりました。

これこそが限界的思考、つまりこの一度だけを自分に許すこと、自分のルールを「いつも」守るのではなく、「ほとんどいつも」しか守らないことの怖さだ。一度ではすまなくなるのだ。

この講の最後の言葉がこれです。

妥協の道の第一歩が現れたら、踵を返そう。

以上、読んでいただきありがとうございました。 それではまた!

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